土曜の朝から、会社の先輩と仕事を3時間した後、
お腹がすいたような、すいてないような。
賢人の考えを歴史から学ぼうと、
山手線一周半。思い立って、降り立った有楽町。
雨がザンザン降ってたけど、たまたまつばのついた帽子をかぶってたし、
靴もかばんも防水。気にするもんはないなと、傘をささずにゆっくり歩く。
銀座の方面に歩いていると、銀座の交差点が目の前で赤になった。
止まってるのもしゃくなので、左折して歩き続ける。
知らない街を歩くのはなんか好きだ。発見があるかもしれないから。
そんなこんなでぽけーっとなにをみるでもなく、ただただ前を向いて歩くと、
京橋にたどり着いた。そこでたまたまお寿司屋さん「大舷」の看板をみる。
さっき、海鮮丼たべたいな、ってたまたま思ってた。
はいってみるか。今日はここの大将とのお話。
① 「こんな寿司、くったことないだろ!?」
お店は15名も入ればパンパンそうな、昔ながらの居酒屋さん、という感じ。
ぽけーっとしてる今はこういう雰囲気のほうが、落ち着いていていい。
15:30くらいで、時間もはずれていたせいか、お店には大将お1人。
「ランチやってますか?」
「ありものならいいよ」
って感じで、カウンターのど真ん中着席。
BGM代わりに、左後ろ頭上の小さなブラウン管テレビ。(たぶん)
日本全国洪水がすごそう。
大将がマグロの海鮮丼をつくってくれて、ひとこと。
「こんな寿司、くったことないよ」
かまぼことたくあんが添えられた、
シンプルなマグロの海鮮丼を出してくれた。
たしかに、すごい美味しかった。
マグロがキレイに切られているでもなく、ねぎとろまでねちょねちょでもない、
間くらいの。おいしい。
「おいしいです」
「そうだろ、くったことないだろ。くったことあんなら、その寿司屋教えてみろってんだ」
って。あー、すごい自信だなって思った。
その言葉が、この海鮮丼を食ったことのないものに仕上げている。
② 「一生涯を貫く仕事を持つということ」
気になって聞いてみた。聞き方が難しかった。笑
「この仕事はずっとやられているんですか?」
「そうだよ、ずっとやってる」
「... 10年以上とか、ですか?」← ここ、難しかったところ笑
「ばか、もっとだよ!15の時からやってんだから」
「え!?そんな!?いまおいくつなんですか?」
「64だな」
「おー!じゃあ50年も!」
社会人5年目。直近まで今の会社の転職を考えていた僕にとっては、
大きな話だった。(今は考えてないです。一応誰が読むかわからんから。ホント)
大将がいうには、人生で大事なことは、
「一生涯を貫く仕事を持つということ」だ。福沢諭吉先生が教えてくれたと。
15歳のころから、親父に教えてもらっていたらしい。それが今でもパッとでてくるなんて、相当な人生の刷り込みようだ。
福澤心訓七則
一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。
これを、その場で検索させられて、カウンター越しではなく隣まできて、
音読してみろ、って読まされた。笑
初めてだったけど、どれも当たり前に大事なこと。この当たり前がむずいもんだ。
ほんで、このなかでも、大将は第一項の仕事の話がもっとも大事だと。
これによって、信頼が生まれるし、お金が生まれる。
「苦」に当たって、ぽいぽい職を変えているやつに、金も信頼も人も集まらない。
おれだってなあ、と大将エピソード。
「資金不足で、仕入れが厳しいときは、いつもの仕入れやさんにお願いするんだよ。キロ1,000円のところを、ごめん!900円にならないか!?って。そうすっと、ずっと付き合ってるから助けてくれんだ。これが双方メリットになるよな?向こうも長ーく、使ってもらえるだろ?三方良しだ。ね?」
って。さすがに、わかりやすい経験されている。
「うさぎとかめ論」だ。ってのも言ってた。
うさぎはぴょんぴょん。目先のメリットを追いかけて突っ走る。
「ローン組んでベンツとか買っちゃう。お金がまわってるならいい。けど、いまのコロナのご時世になってみろ。払えないだろ?ゆっくりでいいんだよ、1日1,2万円で。」
③ 「気の合わない女と続くか?」
ひょんな話から、めちゃくちゃいろんなことを教えてもらっている。楽しい。
ちょっと前に転職を考えていた話をした。
好きな仕事ではないが、金がいいから、転職しようとしていた。
っていったら、
「だめだよそれは。だって、気の合わない女と続くか?結婚できるか?」
あー!笑
絶対むり!!
だって、人生 金じゃないもん。って普通に思う。笑
「それと同じだ。」
びしっと。わーまじでかっけえ。笑
わかりやすいです大将。笑
途中から、相当にやけて話をきいていたと思う。
わりと後輩に女性のたとえを使うけど、これは響きました。
④ 「博打はだめだよ。満腹感がない」
個人的に、最近ポーカーにはまってる。
アミューズメントで遊ぶのはいいが、オンラインでお金を賭けられるから、最近歯止めがきかなくなっている。
なんの話の中だったか。
「若いうちから経営はあまりおすすめしない。欲がでるから。いろんな欲が駆り立てたれて、使っちゃいがちだ。
あまりお金のないいまのうち、酒も女も、遊びも、飽きるまでやったらいいよ。
そしたら、飽きて欲もなくなるから。」
みたいな話から、たまたま。本当にたまたま。笑
「博打はだめだな。あれはだめだよ」
っていってて、他の話に移っていった。
お!?
やめたいけど、やめられない。ギャンブル障害の本も読んでる僕にスルーできないトピックス、それ。
「なんで、博打はまずいんですかね?」
「満腹感がない。酒は2,3合のんだら眠くなるだろ?博打とか金は、一攫千金でそれがない」
いえてる。だから毎回、賭け金0になるまでやっちゃうのよね。上限がいくらあっても、同じこと。
今の僕は余裕をもって博打ができてない、いいカモだ。
「日産のゴーンとかもそうだ、あれば貧乏人の考えだね。もらえるだけもらう。加減がわからねえんだ。バレるまでやっちゃう。ちょっと抜いてやめておくべきだった。金持ちはこの加減がわかってんだよ」
意識の話をされると、自分の内側から変えたくなってくる。
貧乏人の意識 、つまり余裕のない人の意識は嫌だ。
こうやって、運命的に話をされると、やめるか、って思う。
どうせ、0になるまでやるし、いっとき勝ったら勝ったで、その金でまたやっちゃうんだから、ほんとうにひどい堂々巡り。やめましょう。
こうやって、お寿司屋さんにいってるほうが、良いお金の使い方です。まじで。
ポーカーしたくなったら、いらんマンガの10冊でも、20冊でも買っちゃおう。ソッチのほうが安くつくし、知見になるから。本当に。
格好悪い自分と、縁を切りましょう。
※ さっき、於岩稲荷陽運寺@四谷三丁目 でお祈りしてきたばかり
⑤ さいごに
気がついたら、1時間以上話してた!楽しかったぜぇ勉強になったぜぇ大将。
ってことで、お会計をもらって。
「ありがとうございました!」
「福沢先生の教えを頭の片隅にな」
思わず握手して、頭をさげる。
お店ののれんをくぐるときに、僕に
「お前はおっきな男になるよ!」
って言ってくれた。
ふつうに余裕で元気出る。
50年間同じ仕事をし続けている、大将からの言葉。
おっきくなってからまた行きます。
ごちそうさまでした。